【ドイツ語の前置詞] 格支配・使い分けのイメージ、 融合形・熟語などの例文について

ドイツ語の前置詞は、
次にくる名詞などの格が決まっています。
 
例えば、
3格支配の前置詞にmit (ミット)があります。
mit という前置詞は、「~といっしょに」という意味で、
次にくる名詞や代名詞が3格になります。
 
mit +3格の名詞(代名詞)
 
「お母さんといっしょに」というときは
mit der Mutter ミット デァ ムター
となります。
 

2格支配の前置詞について 

 
2格支配の前置詞には、
・statt シュタット ~の代わりに
・trotz トロッツ ~にもかかわらず
・wegen ヴェーゲン ~のために(理由など)
・während  ヴェーレント ~の間じゅう
などがあります。
 
Statt der Mutter kommt der Vater.
シュタット デァ ムター コムト デァ ファーター
母の代わりに父が来ます。
 
Mutter は「母」という女性名詞で、
定冠詞+名詞の変化は下記の通りになります。

1格 die Mutter
2格 der Mutter
3格 der Mutter
4格 die Mutter
 
statt は2格の名詞と結びつくので、
statt der Mutterとなります。
 
主語以外のものが文頭にあるので、
主語(der Vater )と動詞(kommt) がひっくり返って、
Statt der Mutter kommt der Vater.
主語以外の要素 +動詞+主語
という語順になります。
 
セルフ・チェック → ドイツ語の定冠詞の変化

trotz トロッツ ~にもかかわらず
・trotz des Regens : 雨にもかかわらず
トロッツ デス レーゲンス
 
□ wegen ヴェーゲン ~のために(理由など)
wegen der Krankheit:病気のため
ヴェーゲン デァ クランクハイト
 
während  ヴェーレント ~の間じゅう
・während des Unterrichts:授業の間じゅう
ヴェーレント デス ウンターリヒツ
 

3格支配の前置詞について

 
3格支配の前置詞には、
・aus アオス ~から
・bei バイ ~の場合・~のところに
・mit ミット ~と一緒に・~で
・nach ナーハ ~の後で・~へ・~によれば
・seit ザイト ~以来
・von フォン ~から・~の・~について
・zu ツー ~へ
などがあります。
 
aus アオス ~から
・aus dem Zimmer:部屋から
アオス デム ツィマー
 
Zimmer は「部屋」という中性名詞で、
定冠詞+名詞の変化は、

1格 das Zimmer
2格 des Zimmers
3格 dem Zimmer
4格 das Zimmer
となります。
 
aus は3格の名詞と結びつくので、
aus dem Zimmerとなります。
 
*ちなみに*
「去るものは日々に疎し」をドイツ語では、
Aus den Augen, aus dem Sinn.
アオス デン アオゲン アオス デム ズィン
という表現になります。
 
bei バイ ~の場合・~のところに
・bei den Eltern:両親のところに(一緒に)
バイ デン エルターン
 
mit ミット ~と一緒に・~で
・mit dem Zug:電車で
ミット デム ツーク
 
nach ナーハ ~の後で・~へ・~によれば
・nach der Arbeit:仕事のあとで
ナーハ デァ アルバイト
 
seit ザイト ~以来から
・seit einem Jahr :一年前から
ザイト アイネム ヤール
 
von フォン ~から・~の・~について
・von der Bibliothek :図書館から
フォン デァ ビブリオテーク
 
zu ツー ~へ
・zu mir :私のところへ
ツー ミーァ
 
*同じ「~へ」でも、
nach の後ろは地名、
zu の後ろは人や建物がきます。

・Ich fahre nach Wien.
私はウィーンへ行きます。
 
 

4格支配の前置詞について 

 
4格支配の前置詞には、
・durch ドゥルヒ ~を通って
・ohne オーネ ~なしに
・für フューア ~ のために・~にとって
・um ウム ~のまわりに
などがあります。
 
durch ドゥルヒ ~を通って
・durch den Park:公園を通って
ドゥルヒ デン パルク
 
ohne オーネ ~なしに
・ohne dich :君なしに
オーネ ディヒ
 
für フューア ~ のために・~にとって
・für die Mutter:母のために
フューア ディー ムター
 
um ウム ~のまわりに
・um die Sonne:太陽のまわりを
ウム ディー ゾンネ
 
*「何時に」というときは、
um 6 Uhr :6時に
ウム ゼクス ウーァ
という言い方をします。
 

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3格・4格支配の前置詞について 

 
ドイツ語では、一つの前置詞で
3格の前置詞と結びついたり、4格の前置詞と
結びついたりするものがあります。
 
例えば、
3格・4格支配の前置詞に auf(アオフ)があります。
auf という前置詞は、「~上に・~上へ」という意味で、
英語のonにあたります。
 
・「どこに」、「どこで」のように場所を表すときは、
3格と結びつきます。
 
・Die Zeitung liegt auf dem Tisch.
ディー ツァイトゥング リークト アオフ デム ティッシュ
新聞が机の上に置いてあります。
 
・動詞に「移動・方向」の要素があるときは、
4格と結びつきます。
 
・Ich lege die Zeitung auf den Tisch.
イヒ レーゲ ディー ツァイトゥング アオフ デン ティッシュ
私は新聞を机の上に置きます。
 
3格・4格支配の前置詞には、
・an アン ~のそばに(で)/ ~のそばへ
・auf アオフ ~の上に(で)/ ~の上へ
・hinter ヒンター ~の後ろに(で)/~の後ろへ
・in イン ~の中に(で)/ ~の中へ
・neben ネーベン ~の横に(で)/ ~の横へ
・über ユーバー ~の上方に(で)/ ~の上方へ
・unter ウンター ~の下に(で)/ ~の下へ
・vor フォーア ~の前に(で)/ ~の前へ
・zwischen ツヴィッシェン ~の間に(で)/ ~の間へ
など、9つあります。

 □ an アン ~のそばに(で)/ ~のそばへ
・an dem Fenster :窓のそばで(3格)
アン デム フェンスター
・an das Fenster :窓のそばへ(4格)
アン ダス フェンスター
 
auf アオフ ~の上に(で)/ ~の上へ
・auf dem Bett :ベッドの上に(3格)
アオフ デム ベット
・auf das Bett:ベッドの上へ(4格)
アオフ ダス ベット
 
hinter ヒンター ~の後ろに(で)/~の後ろへ
・hinter der Post:郵便局の後ろに(3格)
ヒンター デァ ポスト
・hinter die Post:郵便局の後ろへ(4格)
ヒンター ディー ポスト
 
in イン ~の中に(で)/ ~の中へ
・in dem Zimmer :部屋の中で(3格)
イン デム ツィマー
・in das Zimmer :部屋の中へ(4格)
イン ダス ツィマー
 
neben ネーベン ~の横に(で)/ ~の横へ
・neben dem Haus:家の横で(3格)
ネーベン デム ハオス
・neben das Haus:家の横に(4格)
ネーベン ダス ハオス
 
über ユーバー ~の上方に(で)/ ~の上方へ
・über dem Dach:屋根の上のほうに(3格)
ユーバー デム ダッハ
・über das Dach :屋根の上のほうへ(4格)
ユーバー ダス ダッハ

 □ unter ウンター ~の下に(で)/ ~の下へ
・unter der Brücke:橋の下に(3格)
 ウンター デァ ブリュッケ
・unter die Brücke:橋の下へ(4格)
 ウンター ディー ブリュッケ
 
vor フォーア ~の前に(で)/ ~の前へ
・vor der Tür :ドアの前で(3格)
フォーア デァ トューア
・vor die Tür:ドアの前へ(4格)
フォーア ディー トューア
 
zwischen ツヴィッシェン ~の間に(で)/ ~の間へ
・zwischen den Leuten:人々の間に(3格)
ツヴィッシェン デン ロイテン
・zwischen die Leute :人々の間へ(4格)
ツヴィッシェン ディー ロイテン
 

前置詞と定冠詞の融合形について 

 
いくつかの前置詞は定冠詞と合体して、
融合形を作ります。
 
・an + dem → am アム
・an + das → ans アンス
・bei +dem → beim バイム
・in + dem → im イム
・in + das → ins インス
・von + dem → vom フォム
・zu + dem → zum ツーム
・zu + der → zur ツーァ

Ich gehe in das Kino. 私はその映画館へ行く。
この場合、その映画館というように
なにかその映画館に行くこだわりがあり、
その」と限定しています。

それに対して、
Ich gehe ins Kino.
この場合は映画館はどこでもよく、
映画を見に行くというように、
定冠詞の指し示す力が弱くなります。

*ちなみに*
ヘルマン・ヘッセの小説に、
『車輪の下』という作品があります。
ドイツ語のタイトルは、
『Unterm Rat』です。

これはunter と dem がくっついて
unterm(ウンターム)
となります。

ストーリーは、
優秀な少年が大人の無理解に、
約束された階段を踏み外し、堕ちていく
という作者の自伝的なお話です。
おすすめの一冊です。

特定の前置詞と結びつく動詞 

動詞が特定の前置詞と一緒に、
イディオムとして使われることがあります。

□  warten + auf (4格):4格を待つ
・Ich warte auf den Zug. 私は列車を待つ。
イヒ ヴァルテ アオフ デン ツーク

□  denken + an (4格):(4格)を思い出す
・Er denkt an seine Mutter. 彼は彼の母を思い出す。
  エァ デンクト アン ザイネ ムター

 □ diskutieren + über (4格):(4格)について議論する
・Wir diskutieren über den Umweltschutz.
私たちは環境保護について議論する。
  ヴィーア ディスクティーレン ユ-バー ウムベルトシュッツ

□ halten + für  (4格):4格の目的語を(4格)と思う・みなす。
・Ich halte ihn für meinen guten Freund. 
私は彼を私の仲良しだと思っている。
  イヒ ハルテ イーン フューア マイネン グーテン フロイント

□ zufrieden + mit (3格):(3格)に満足している
・Er ist mit seinem Leben zufrieden. 彼は彼の人生に満足している。
 エァ イスト ミット ザイネム レーベン ツフリーデン

まとめ 

wegenは2格支配の前置詞ですが、
辞書には(まれに3格支配)というような表記があります。
まれにと書いてある場合は、気にしなくて大丈夫です。

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